当たり前かもしれませんが、人に何かを完璧に伝えるというのはとても難しいことです。

思いをつくしあらゆる意匠を駆使して説明するよりも、一つの笑顔のほうがより多くの情報を伝達することがありうるように、相手が生きている限りそこにはナマの「関係性」が芽生えてしまいます。「教える」際の努力は、海の話をするはずが魚の話で精一杯だったという感じに似ています。
しかし心をつくして魚の話をしてゆくうちに海の真実がみえてくる、という可能性を信じております。そしてどこを切り取っても最小の世界を本当に突き詰めていけば、あるとき魔力が生じて一気に「全体」を見渡すことが可能かもしれない。

そういう経験が屡あるのも本当であり、それが私達の密かな楽しみです。